麻疹風疹 予防接種率上げに懸命 | 原発災害の情報など (休止)

麻疹風疹 予防接種率上げに懸命

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sci/20060502/ftu_____sci_____001.shtml
麻疹風疹 予防接種率上げに懸命
単独ワクチン復活へ
東京新聞
 
四月から制度が変わった麻疹(ましん)・風疹(ふうしん)の予防接種は、近くまた手直しがありそうだ。だが国は、発生ゼロに向けて、一歳のとき徹底的にワクチンを接種するという基本的な考え方に変わりはないとする。

 新しい制度では、一歳の一年間に限り、公費で麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)を接種する。また小学校入学前一年間の時期にも公費で受けることができる。

 しかし直前の三月三十一日になって、厚生労働省の課長事務連絡という形で、麻疹・風疹単独のワクチン接種も復活する考えが示された。近々実施される見込みだ。

 それにより、麻疹にかかったが風疹ワクチンは受けていない子供、あるいは風疹にかかったが麻疹ワクチンは受けていない子供が、単独のワクチンを公費で受けられるようになる。

 制度は煩雑になるものの、ワクチン未接種者を少しでも減らしたいという意向が強く働いたという。現在は、自治体によって特別の制度を設けているところがあり、どこまで公費でできるかに違いがある。

 麻疹・風疹の患者数はワクチン接種の増加に伴い減少傾向。昨年、麻疹は特定の医療機関による「定点報告数」が五百四十五人、風疹は八百九十五人だ。三重・宮崎・沖縄などの県では、麻疹発生がゼロになったと報告があった。ただ米国の麻疹患者数は百人以下で、日本は先進国としては多い方。米国から「麻疹の輸出をしている」と批判されたこともある。

 国立感染症研究所の多屋馨子・第三室長は「一歳の麻疹ワクチン接種率は76%。これを90%に上げたい」としている。また風疹の接種率は麻疹に比べて低く、一-四歳で75%となっている。また中学生女子のみにワクチンを定期接種していた時期があったため、二十-四十歳代の男性の接種率が低いという問題もある。

 多屋室長は「麻疹排除・先天性風疹症候群ゼロのためには、接種率の維持、向上は無論必要。症例数が少なくなってきているので、これまでの定点観測だけでなく、全数報告を導入し、診断のときには厳密にウイルスを同定することも必要になってくる」と話している。
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